2017年1月18日水曜日

空っぽの檻と水仙

野毛山動物園のメスのアムールトラ「メイメイ」が2017年1月4日に老衰のために亡くなった。
息子にとって生まれて初めて見た本物のトラは、メイメイだった。自宅から一番近い動物園である野毛山には、季節ごとに動物たちに「元気かい? 」と、挨拶をするような気分でよく通っていたので、あのいつも見ていたメイメイがもういないというのが、なかなか信じられない。

私たち親子がメイメイに会ったのは、晩年の頃だったから元気に動き回っているというよりも、じっとしていたり、眠っていたりすることのほうが多かったように思う。

普段見ていたときには気づかなかったが、メイメイはお年寄りだったのだ。野毛山動物園で生まれて、20歳で亡くなったメイメイ。飼育下では15年が寿命なので長生きしたほうなのだという。野生を知らずに檻の中で一生を過ごしたメイメイ。メイメイの目には、私たち人間はどのように映っていたのだろうか? メイメイの訃報を受けてから、いろいろなことを考えながら過ごしていた。

息子が『かばくん』という動物園が舞台の絵本を読みたいとせがんで、寝る前に読み聞かせをしていたときに、そうだメイメイにお別れの挨拶に行こうと急に思い立った。

翌朝、家の庭に咲いている水仙の花を数本摘んで、オモチャを包んでいた青い包み紙を赤い紐で結んで持っていくことにした。お店で買った花よりも、なんとなく心がこもっている気がして。水仙の甘い香りは、凍てついた空気にも優しく、なにより美しかったメイメイにふさわしい花だと思ったのだ。
息子は、家から動物園まで大事に花束を手に持って行った。ベビーカーに乗っても離さず、坂道ではベビーカーから降りて、花束を持って長い長い坂を頑張って歩き切った。

空っぽの檻を見て、「メイメイちゃんいないねーねてるのかな? 」と息子。献花台に花を捧げ、遺影のメイメイちゃんを見て何かを察したのか、ちょっと寂しげな表情をしていた。遺影の前に座って、手を合わせて「メイメイちゃんありがとう、安らかにねむってね」と伝えることができてよかった。
メイメイがいたバックヤードのガラス張りの部屋には、飼育員からの寄せ書きや贈られた花とメッセージがたくさん置かれてあり、メイメイがみんなから愛され大切にされていたことが痛いほど伝わってきて、うれしかった。そして、本当にメイメイがもういなくなってしまったんだ、もう会えないんだという実感がわいてきて、私は寂しくてそこに長くとどまることはできなかった。
バックヤードの廊下には、メイメイが元気だったころの楽しげな姿が大きな写真で飾られているので、ぜひ多くの人に見てほしい。

メイメイの献花台は、野毛山動物園のトラ展示場横に1月22日(日)まで設置されている。


2017年1月7日土曜日

新年早々、洗濯物に張り切りボーイ

そういえば、息子はずり這いを始めた頃から、洗濯物を干すピンチが大好きで、床に転がっているのを手に持ち揺すって音をジャラジャラ鳴らして遊んでした。

私が毎日のようにする洗濯の行為を、見守っているうちに、いろいろな動作に興味を持っていったのだろう。

2歳9ヵ月の今では、洗濯が終わったサインの「ピー、ピー、ピー」が鳴った時点で、「ママーせんたくおわったよー! 」と教えてくれるのはもちろん。洗濯ネットのファスナーを自分で開けて、床に出してくれる。私がやろうとすると、「じぶんでやるー! 」と怒られてしまう……。
ハンガーにかけたり、ピンチにとめるのは、効率的に乾かすためのママ流儀があるので、ここは息子の出番はお休み。

そして、いざ庭の物干し竿に干しに行くとなると、自分のサンダルを玄関に取りに息子は走る。晩秋から冬にかけては、庭に蚊や蜂が出てこなくなるので、子どもと一緒でも安心だ。息子は私が干す作業をしている周りをウロチョロ走って、ほとんど邪魔をしているようにしか見えないのだが、もしかするとママのボディーガードでもしているつもりなのかも!? しれない(笑)

2階の日当たりの良い旦那の部屋の手すりには、バスタオルやシーツを干すのだが、箱にしまってあるピンチを私に手渡すのが息子の仕事なので、「2個取って、もう1個取って」などとやりとりしながら、補佐役をこなす。

夕方に洗濯を取り込んでからが、息子のお楽しみの時間だ。

息子がピンチを外しやすいように、大人用や子どもの椅子の背に引っ掛けてやる。そうすると、ちょうどいい高さでピンチを押せて洗濯物が落下する。
新年にタオルの畳み方を教えてみたら、意外と上手に畳めたので、最近は毎日やっている。「タオルの端と端をこうやって合わせるんだよ。シワものばしてね。」と私が先に手本を見せて教えて、「はんぶんこ、もういっかい、はんぶんこ」と、二人で呪文を唱えるように畳んでいく。勢いあまってはみ出したら、私が「バックオーライ!」と言って、やり直しさせる。ママは厳しいのである。
息子用の大きなバスタオルは、収納の都合から私がくるくる丸めている。息子はまだできないので、「ロールケーキはできないから、ママやってー」とお願いされる。

靴下は、わざと家族分をバラバラに散らして、どれがセットになるかを見つけさせるゲーム感覚で手伝わせている。セットを見つけて手渡すと私がくるりと丸めるのだ。
一人でやるより、時間がかかるので、早く終わらせて夕飯づくりをしたい気持ちにかられるが、ここはガマンガマンと息子のやりたい気持ちに、のんびり付き合うことにしている。






2016年12月31日土曜日

どんなムードがお好き?

今年のうちに絶対行っておきたい場所があった。それは、祐天寺にある『ナイアガラ』という名のお店だ。
ひと足早いクリスマスプレゼントとして、息子が行きたがっていた場所へ連れて行くことに。

息子を驚かせるために、どこに行くかは内緒にして出かけた。Youtubeで映像を見せていたせいか、お店の外観を見て息子は「ナイアガラだ!」と、すぐに気づいたようだ。

そこは、息子が大好きな“汽車ムードのお店”のカレーステーション。

中へ入ると、昔ながらのブルーシートの向かい合わせの四人掛け椅子が並び、行先の看板があちらこちらに掛かっている。

店内をぐるりと一周するように線路が敷かれ、汽車がカレーを運んできてくれるのだ。なんと夢のあるお店なのだろう。子供ならずとも、大人もワクワクした気持ちになってくる。

網棚にのっていた駅員さんの帽子をかぶり、親子でカレーを待つ。

出発の声とともに、汽車がトンネルを抜け、自分の目の前に停車し、無事にカレーが運ばれてきたときの、ちょっと緊張しつつも、驚いた顔が忘れられない。
カレーは新幹線の入れ物に入っている。息子の大好きな汽車と新幹線がみごとなコラボをみせていた。その後、セットのオレンジジュースやデザートで注文していたソフトクリームも、みんなそれぞれ汽車に乗って運ばれてきた。そして、運び終わるとバックしながら汽車がまたステーションへ帰っていく姿もおもしろい。
その日は、食堂長のエプロン姿をしたかわいらしい女性店員さんがいて、発車のスイッチを押したり、来店記念の切符を切ったりして息子を楽しませてくれた。

祐天寺には、駅前にも格安なチェーン店のカレー屋さんもあるが、『ナイアガラ』は子連れだけでなく仕事中のサラリーマンがランチ時にふと一人で入ってくるようなお店だ。

きっと、汽車ムードが恋しくなるのだろうな。

子育てをしていると、ついつい怒ってしまいトゲトゲしたサボテンや鬼のようなムードになってしまいがちだが、のんびりとした旅情のある汽車ムードに浸ってみると、やっぱりこっちのほうが断然気持ちがいいよなーと反省する。

思わず近寄って休んでいきたくなるような、ほんわかおひさまムードも好きだ。

みんなそれぞれに、いろんなムードをまとって生きていて、世の中全体のムードも一人ひとりのムードがつくっているともいえる。

そう思うと、けっこうムードというのは重要なのかもしれない。
毎日を気分よく過ごすというのは、難しいがチャレンジしがいのあるテーマである。

2016年も残すところあと数時間。
「ことのは山房のポケット」と名前を変えてブログを休み休みながらものんびり続けてみた一年。息子も2歳9か月になり、子育ても手助けする部分よりも、見守る部分が増えてきた。

口を出し過ぎず、手を出し過ぎず、気分よく過ごすというのが来年の目標かな?そして、本物の汽車にも乗ってみたいな。久しぶりに新幹線に乗った旅もしてみたい。

今年も、ブログに遊びにきてくださったみなさまありがとうございました。
よいお年をお過ごしください。

いつまでたっても大人げないママの ことのは山房より
2016年12月31日








2016年11月12日土曜日

火について、親が教えてあげられること

11月のよく晴れた休日、息子と二人で第4回「鎌倉エネルギーカフェ」に参加してきた。今回は、鎌倉にある緑豊かな庭のある古民家「カジュ・アート・スペース」を舞台に、“クリまつり”と題してエネルギーのことをおいしく楽しく学べるとのことだった。

鎌倉エネルギーカフェの事務局をされている「きらくなたてものや」の日高さんとはライターの仕事でインタビュー取材させていただいたご縁があり、イベントに参加させてもらうことになった。

エネルギーカフェには、幼児から小学生くらいの子どもたちが家族で参加し、地元の常連の方も多いようだった。また、幼稚園やフリースクールなど、子どもの教育に取り組んでいる方も何人かいた。

今回のクリまつりのエネルギーカフェでは、衣・食・住の体験学習として、クリのイガを使った染めの体験、そして、クリごはんやクリ入りの豚汁、焼き栗といった自然の旬の恵みを料理を味わい、建築にも古くから使われ、水に強くじょうぶなクリの木材を使って、コースター作りもした。

化石燃料にたよらないという趣旨のもと、会場の庭では火をおこして染料を煮出したり、ご飯を炊いたりしていたので、火のまわりはとても暖かく和やかな雰囲気に包まれていた。白い煙は木の上まで高くのぼり、木漏れ日のまぶしい光と相まって、なんとも美しい眺めだった。そこに集う人たちまでいつのまにかいぶされていて、洋服にも香ばしい匂いがしみこんでいた。
また、「ロケットストーブ」というペール缶を利用した手作りのストーブの上に、直火のオーブンをのせて、焼き栗もしたので、おいしい匂いがあたり一面に広がって食事時が待ち遠しかった。
普段の暮らしでは、ガスの青い炎しか見たことのない息子だが、こんなふうにパチパチと燃える音がする本物の火を見せてあげることができたのは、とてもいい経験だと思った。

小さい子どもは、遊びに夢中になって火にうっかり近づいたりするので、大人は肝を冷やすが「火があったり湯気がのぼったりしてるところは、熱くてやけどしちゃうから、さわらないよ」と注意しながら、周りの人たちの見守りもあって、なんとかケガなく過ごすことができた。
親としては、火の危険性や怖さを教えてあげることももちろん大切だが、美味しい料理を作ったり、染物をしたりすることもでき、火の近くで暖まることもできるという恩恵を受けられることや、火を燃やし続けるには、薪をくべたり、うちわであおいだり、火の様子を目でよく見ながら、身体を動かし働きかけないといけないということを、大人の様子を見ながら学んでほしいなと思った。
2歳の息子はそこまで理解するのは難しいとしても、小学生くらいになれば、体験を通じて火についてより深く学べるのではないだろうか。

先日、東京デザインウィークのアート作品が燃えて、幼い子どもが犠牲になる痛ましい事故が起きたばかり。“電球の近くにオガクズがあれば、燃える危険性がある”ということを認識して注意できる人が、作品を作った当事者や関係者、そして実際に子どもを遊ばせていた親たちのなかにも、いなかったということのショックは大きい。

私たちが日常的に、当たり前のように使っている電気などのエネルギーはもちろん、火についても、親が子どもに教えてあげられることはいったい何だろう?そんなことも、あらためて考えさせられたエネルギーカフェの一日だった。







2016年10月25日火曜日

憧れの「星の子」人形に挑戦!

シュタイナー教育を行っている幼稚園の親子教室をきっかけに、「手しごと」に目覚めた私。

手先は器用とはいえず、おおざっぱでどちらかというといい加減な性格だが、手先を動かすことは好きだし、手づくりの温かみのある物に惹かれ、自分の頭に浮かんだアイデアを形にしていく地道な作業も楽しいので、どうにかこうにか1年あまり「手しごと」を続けることができている。

月1回行われている、手しごとを習う広場では子どもを連れて主に手縫いの手しごとを教わっている。

昨年の今ごろは、「赤ちゃん人形」を作っていた。これはシュタイナー教育では最初に与える足のない素朴な抱き人形として紹介されているものだ。ブログでも「僕のかわいい妹」というタイトルで記事を書いているので、興味のある方はそちらもどうぞ。

あるシュタイナーの幼稚園のバザーで、「星の子」というかわいらしい手のひらサイズの人形が売られているのを見てから(正確には売り切れていて、実物を見ることはできなかった)いつかあの子を作ってみたいと思っていたのだ。
「スウェーデンひつじの詩舎」で手作りキットが販売されているということで、実物を見てから決めたかった私は、青山にあるクレヨンハウスに買いに行った。いろいろ色がある中から黄色と水色の2体がセットになった星の子のキットを購入することにした。(税込みで1680円)

やらわかなジャージー素材の星型のお人形は、作っている最中から優しい気持ちになれる。講師の先生にアドバイスを受けながら、作っていくと仕上がりの美しさが断然違うので、とても勉強になる。

ジャージー素材はズレやすい生地なので、仮縫いをしたり、まち針を多めに打ったりといった、下準備が大事なのだ。羊毛の入れ具合や目口のバランスも、小さい人形だからこそちょっとした加減で持った印象や顔の印象が違ってくるので、慎重にやったほうがいい。
ニョキッと出た、てるてる坊主のような小さな手と足。ふっくらやさしい顔がなんとも可愛いらしい「星の子」人形。息子もお月さまやお星さまが好きなので、気に入ってくれるといいな。

あとは、髪の毛を縫い付けるだけで完成。落ち着いてやりたい作業や時間が足りずできなかった部分は、宿題として持ち帰って育児の合間にやる。次は1ヵ月後なので、焦らずできるのがありがたい。

手しごとを習う広場では、講座の終了後に子どもたちと親と講師の先生とともにスタッフ手作りのおやつもいただく。この日は、豆乳クリーム付きのマドレーヌとリンゴジュースの寒天ゼリー、参加者のママさん差し入れのクッキー。教室後のおやつのたのしみもあるからこそ、親子で通い続けられているのかもしれない。




2016年10月24日月曜日

竹とんぼ日和

夫が、美しい「竹とんぼ」をもらってきた。
しばらく棚の上に飾ってあった竹とんぼ。「今日は竹とんぼ日和だよ」ということで、私と夫と息子の三人で午後の晴れた時間帯に広い芝生のある公園へ行ってきた。

まずは、夫と私で飛ばしてみる。

手の平ですり合わせて、竹とんぼを手放すあの一瞬、勇気がいる。二人とも最初はぎこちなかったが、だんだんとうまく上のほうへ飛ばせるようになった。子供の頃にやっていたと思うが、久しぶりにやるとなかなかおもしろい。

竹とんぼって、ブーメランのように戻ってくるんだっけ?
今回もらった竹とんぼは、ブーメランのように戻ってきた。手をこすり合わせる部分が、滑らないようにザラザラとした加工がしてあって、青く色がついているので見た目にも美しい。

辞書を引いてみたら、竹とんぼは江戸時代にはすでにあったようである。竹とんぼを飛ばしていると、タイミングよくヘリコプターが空を横切り、息子も飛ばしたい気分が高まったようだ。

2歳7ヵ月の息子も、竹とんぼの動きがおもしろいらしく大人の飛ばすマネをする。くるくる回すことはできるようだ。でも、竹とんぼが掃除機に見えるようで、芝生の上で「そうじきー」と言いながら芝をこすって遊んでいるほうが楽しいようだ。
竹とんぼを飛ばせるようになるのは、もう少し先になりそうだ。



2016年10月16日日曜日

ママのお誕生日は、汽車ポッポに乗るのだ!

もうすぐママのお誕生日、さてどこに行こうか?と夫と話していたときに、図書館でバイブルのような一冊に出合ってしまった。

『小鉄&ママ鉄の電車を見よう!電車に乗ろう!首都圏版』(棚澤明子 著・プレジデント社)
2歳7ヵ月の息子と、奪い合うようにしてこの本を見ていたら、ここも行きたい、あそこも行きたいと、ぜーんぶ行きたくなってしまい、「どうしよー!」と悶々として眠れなくなるくらいに興奮してしまったのは、ママ。息子は、そんな私を見かねて、「だいじょうぶだよー」(つまり、そんなに心配しなくても行こうと思えばいつだっていけるよ)と言ってくれたのだった。

今年のママのお誕生日は忙しく、午前中は幼稚園の体験入園をすることになっていた。お昼ご飯をどこかで食べて、その後電車を見に行けるような半日で遊べるスポットがよかった。

息子は機関車トーマスが大好きで、シュッシュ、ポッポ言いながら部屋を毎日走り回っているくらいなので、前から気になっていた汽車のある大森の入新井西公園へ行くことにした。
バイブルにももちろん載っている。よく見てみると、この汽車は、運転席に乗れるだけではなく、ある時間になると汽笛が鳴り、車輪が動くと書いてあるではないか!!

土曜日は、午前11時と午後2時、3時に動くというので、2時の回を狙った。

大森のベルポートにある、「マサラ」というインドカレー専門店で三人でランチをした後、いざ公園へ。ここは、交通公園とセットになっているので、三輪車や足こぎ自動車などを運転することもできる。もうちょっと大きくなったら、自転車の練習もできそう。
木陰とベンチのある公園には、滑り台や砂場もあり、子どもにとては楽園のような場所。
公園でしばらく遊び、汽笛が鳴る頃には、汽車のまわりが子鉄だらけになる。息子は本物の汽笛に少々驚きながらも、振動をじかに感じて楽しんでいた。レバーや部品を触るのに夢中になって運転席からなかなか出てこない。
汽車の運転席のすぐ横には、京浜東北線や東海道線、特急の踊り子などがビュンビュン走り抜けていくので、子鉄たちにはたまらない様子。

親子三人で、大満足な一日となった。息子は帰りの電車で爆睡。汽車の夢でも見ていたのだろうか?



2016年10月6日木曜日

ママ、ふとんあげないでー!

わが家では居間にもなっている部屋に布団を敷いて寝ているので、朝一番に布団を押入れにしまうのが日課だ。

でも、2歳半の息子は毎回「ママ、ふとんあげないでー!」と叫ぶ。

敷布団をしきっぱなしだと、ゴロゴロ寝だしてけじめがないので、敷布団は息子が朝ごはんを食べているすきにささっと片づけてしまう。

でも、ふとんの上で遊ぶのが好きな気持ちもわかるので、掛け布団は食後の息子の楽しみとして、片づけずにしばらく出しておいてあげることにしている。
息子は、布団を山に見立てて遊ぶのが好きなので、私と夫のかけ布団と薄手のタオルケットを無造作に立体的に置いてあげる。

すると、どこからか汽車や新幹線がかけ布団の周りに集まってくるのだ。
かけ布団のいいところは、ふわふわしていること。気持ちがいいこと。寝ながら遊べること。布団の下にもぐらせれば、トンネルにもなるし、想像の中では池や川もできているのかもしれない。

立体感のあるかけ布団山に、自分も寝っ転がり電車を走らせるのはさぞかし気持ちがいいだろうなぁと、いつもうらやましい気分で見ている。
夏のプールで覚えたバタ足を、かけ布団の上でやるのはホコリが立つのでやめてほしいが、息子はおかまいなしに、バタバタやっている。いちおう遊ぶときのルールとして、布団の上ではドングリなどの実を使って遊ぶのは、NGということにしている。布団が汚れそうなので。
そういえば、私も子どもの頃、太陽の下に干した温かい布団の上に、寝っ転がるのが好きだったな。

2016年9月22日木曜日

真剣そのもの、ぶどうのおめめ!

ばぁばが遊びに来たときに、お土産に岡山県産の種なしぶどうピオーネを持ってきてくれた。直径2センチはあろうかという、大粒のぶどうは、フルーツ好きな息子のためにと買ってきてくれた立派なものだった。

朝食やおやつのときに、大人が皮をむいてやり、喉に詰まるといけなので4等分くらいにして食べさせていたのだが、

今朝は、「ぶどう、じぶんでやる!」と言ったので、やらせてみることにした。
まずは、ぶどうを房ごと渡して、「ねじねじして取るんだよ」と見本を見せた。最初はよくわからず、力ずくで引っ張って、もぎとろうとした息子だが、ちょっとずつねじる手つきを覚えて、3個とも房からとることができた。

そして、ふたつ皿を用意して、手前に実を入れる皿、奥にむいた皮をのせる皿を配置した。
息子は、真剣な目つきで大粒のぶどうをしっかり手で持つ。いつもは、右ききなのに、なぜか右で実を持ち、左手で皮をむき始めた。

最初、どこから皮をむいていいのかわからず、実を転がして見ていた息子だったが、私が「おへそのところからむくんだよ」と教えると、「おへそー」とうれしそうに、声を出して笑いながら房がついていたくぼみの部分を発見して、そこからむき始めた。

息子はここ数日、私たちのむく姿をじーっと見ていたからだろう、指先を上手に使い、方向転換をしながら、まんべんなくきれいにむいていくので、驚いた。

意外と大人の手よりも、小さい子どもの手のほうが、ぶどうはむきやすいのかもしれない。

数分かかって、ようやくむけた緑のやららかな球体からは、おいしそうな紫色のつゆがしたたり落ちている。そのつゆは、息子のふくよかな腕をつたっていた。「おいしいジュースがこぼれないように、お皿の上でむくといいよ」と私は声をかける。

せっかく上手にむけたので、そのままかぶりつかせてやることにした。喉につまらせるのでは? と危惧していた私の心配はよそに、息子は少しずつかぶりついて、つまらせることなく上手に食べていた。
満足そうな息子の表情を見ていると、大人が子供のことを思って、先回りしてしまってばかりでは、息子の達成感や好奇心を奪ってしまうことになるのかもしれないと思った。

ちょっと無理そうかなと親が思っていることでも、自分から「やりたい!」と目を輝かせたときには、やらせてあげるようにしたい。

皮をむいた後のお皿には、ぶどうのおいしいジュースがいっぱい。最後に飲み干し、ぶはーっといい声をあげた息子の表情は、ビールを飲んだ後の夫の顔にそっくりであった。




2016年9月4日日曜日

ふぞろいの野菜たち

今日、夫が仕事でお世話になっているAさんから、野菜がゴロゴロ届いた。

Aさんの実家は、新潟県の南魚沼市にあり、無農薬で農業をしている。ときどきお土産として、生命力あふれる野菜をおすそ分けしてもらったことがあったのだが、こんなにゴロゴロ届いたのは初めてのこと。

今年はミニトマトがたくさん採れたそうで、持て余して困っているので、もらってほしいとのことだった。

クール便で届いた小ぶりの段ボールには、隙間なく新鮮な野菜たちがきれいに収まっていた。冷たくてつやつやで、息子と届いたとたんに野菜をほっぺたに当てて、「きもちいいー」と、しばしうっとりしてしまった。

野菜が言葉通りに、ゴロゴロ並ぶ姿は圧巻で、見ているだけで笑えてくる。息子にとっては、野菜の大波が押し寄せてきたように感じたらしく、興奮して野菜の海にダイブしていた。
都会のスーパーでは、色も同じで形も均一にそろった野菜ばかり見ているが、どうも面白みがなく、あまりそそられない。

くねっと腰が曲がったシシトウや、小さいじゃがいもや、大きいじゃがいも、赤いピーマン、黄色みがかったピーマン、まだ房がついたままの青いミニトマトなど、今日送られてきた野菜たちは、どれも一つひとつに個性があって見ていて飽きないのだ。そして、土の気配も感じる。

息子は、大きなじゃがいもを両手に取り、いきなり「こぶじーさん!!」と叫び出したので、私は大笑い。そして、房付きの青いトマトを見て「これきれいだねーママ!」と不思議そうにまじまじと見ていた。そして、さっきまで遊んでいた釣りゲームのところに持っていき、釣り竿に見立てて遊んでいた。「そうきたか!」と、息子の発想力に驚く。
私が写真を撮るために、野菜のおしりばかりを並べていたら、それがおもしろかったらしく、「しりしりしりー」などと言って、隣でクスクス笑っていた。

たくさんあるミニトマトとじゃがいもを、大好きな小石を触るかのように、一つひとつ手に取って転がして、しばらく夢中になって遊んでいた。普段なら私も、食べ物では遊ばせないのだが、たくさんあるし、私だってそうしてみたいと思うから、特別に今日は遊んでもいいことにした。

ふぞろいの野菜たちを見ていると、なんだかホッとしてくる。「みんなに無理に合わせて窮屈に生きることはないんだよ」と、野菜に励ましてもらったような気分になった。




2016年8月29日月曜日

2歳の夏に思うこと

息子も早いもので、今年の8月で2歳5ヵ月になった。

2歳になったばかりの頃とは違い、親が言った言葉や物の名前をすぐに覚えて言えるようになり、「どうしたいの?」「どっちがいいの?」などと聞けば、自分の意見を言えるようになってきて、だいぶ会話らしくなってきた。

一人遊びも、だいぶ集中してできるようになり。電車や車のオモチャを走らせて自分の空想の世界を広げている。
自分でやりたい気持ちと、それがうまくできないもどかしさ、親にかまってもらい甘えたい気持ちが混ざり合って、ときどきカンシャクを起こしてキーキー騒いだり、物を投げて怒ったり、親を叩いたりして、イヤイヤ期の2歳児らしい姿を見せている。

そういう状況だとわかっていても、親も人間なので、しつこく嫌なことをされたり、騒がれたりすると、暑いしイライラして、ついつい余計に怒ってしまうことも多々あり、落ち込むこともある。

そんなときには、イヤイヤ期の息子の親もまたダメダメ期で、お互い成長過程にいるのだと、思うようにして、私も身内に甘えたり、友人にグチを言ったりして、なんとか乗り切ろうとしている。

もうすぐ2歳の夏が終わろうとしている。

あんなに怖がっていた高い滑り台も一人でできるようになり、噴水の水しぶきに喜び、プールでは、バタ足や水鉄砲あそびに夢中になった。パズルは毎日繰り返しやるうちに、一人で24ピースのものができるようになってしまった。大好きなトーマスのミニ絵本は、文を暗唱して私に読み聞かせてくれるようになった。あか、あお、きいろと色を感じる力が強くなり、物の名前と色を組み合わせて覚えて言えるようになった。真新しいスニーカーとサンダルを履き、歩く姿も安定感が増し、凛々しくなった・・・・・・。
まだまだ夏の思い出はたくさんあるが、息子の遊ぶ姿をそばで見ていると、記憶には残っていないが、自分の幼かった頃を思い出す。きっとこんな風に、小さなことでキャッキャとはしゃぎまわって、目をキラキラ輝かせて、親を困らせてもいたのだろう。

毎日を新鮮な驚きと発見とともに、生きていられる幼い子というのは、ただその場にいるだけで、否応なく大人たちに大きな影響を与えてくる。大人も、子どものように頭をからっぽにして、夢中になって遊ぶ時間がもっと必要だし、子どもの目線からもう一度大人の世界をのぞき見るような、純粋な目と熱い心を取り戻したいと思うのだ。





2016年8月14日日曜日

10周年を迎えた『アフリカ』最新号に、おっぱいエッセイを寄稿

日常を旅する雑誌『アフリカ』が、1年ぶりとなる2016年8月号を発行しました!10周年という節目を迎えてさらに迷走中!? の『アフリカ』は、いったいどこへ向かっているのか?どうやら執筆者も編集人もわかからないらしい。

小さなつまずきや違和感をそのまま見過ごすことができない、現代の大人たちが、日常を鋭く描く雑誌『アフリカ』。

最新号では、ドキュメンタリー写真家の柴田大輔が初登場。内戦が続く南米コロンビアの友人マウロとの交友を、互いの9年間にわたる成長を重ね合わせながら、綴っています。(柴田さんは、この夏の終わりから秋にかけて新宿と大阪のニコンサロンで写真展が開かれる予定です。詳細はニコンサロンのサイトをご覧ください)

私、芦原陽子は、『おっぱい山のふもとから(上)』という、母乳育児にまつわるエッセイを寄稿しました。「・開通はしたけれど・真夜中のプロレスラー・母乳育児の危機・心に残る祝いの品々・眠れぬ日々と母の痛み」が、エッセイの小見出し。

のんびりとした妊婦時代を過ごしてきた余韻が抜けないまま、出産と同時に二十四時間営業の「乳業」に携わる身となった、母の最初の戸惑いを綴りました。

『それだけで世界がまわるなら』髙城青さんのエッセイ漫画も、今回は子どもがいない夫婦の葛藤を。『Stork mark』の犬飼愛生さんの詞は、子どもを連れてくるというコウノトリをモチーフに、子ども、出産にまつわる、女の深い欲を描いていて、身につまされます。

『アフリカ』10周年を記念し、編集人が『アフリカ』が誕生するまでの秘話を明かしているページも.
『アフリカ』を手にするのがはじめてという方にも、入門書として!? 楽しめるのではないでしょうか。

『おっぱい山のふもとから』のエッセイで、おっぱいを飲んでいた息子も2歳の夏を迎えました。卒乳してはじめての夏。大好きな電車を見つめる後姿も、ちょっとお兄ちゃんになった気がします。

2016年7月21日木曜日

白雪姫と七人のこびと、わが家のこびと

これまで夫がディズニーのアニメをいくつか借りてきて、一緒に観ていたのだが、2歳4ヵ月の息子が一番気に入ったのが、『白雪姫』だった。
 
『白雪姫』の前によく観ていた、『バンビ』にも通じる森の動物たちがたくさん出てきたのも、うれしかったらしい。息子が好きなシーンは、白雪姫と森の動物たちが歌いながら掃除や洗い物をするところ。リスがしっぽで食器を洗うところと、掃き掃除でズルをするところは毎回笑っている。馬も好きなので、王子様が白馬に乗ってくるシーンは、じっと真剣なまなざしで見つめている。
 
七人のこびとが宝石を掘り、仕事を終えてハイホーと歌いながら、家に帰るシーンは最も好きで、大興奮してすぐにオモチャコーナーにある、トンカチを探しにくる。息子が持っているのは、だるま落とし用の小さなトンカチだが、これを片手に持って、歌いながら部屋をぐるぐるねり歩くのだ。息子は発音がおかしくて、「ハイホー」が「アイフォン」に聞えて笑える。
 
最近は、公園へ行く道すがらも、私にハイホーを歌ってくれとねだり、私は、恥ずかしいながらも、「ハイホー!!!ハイホー、ハイホー仕事が好き」と叫び歌うのである。
 
息子がこびとを好きになったので、シュタイナー教育を行っている幼稚園で教わった羊毛にフェルトの衣装をまとったこびともいくつか作ってやった。四人乗りの木のバスに乗せて遊んでいる。
家の近くのマンションの下に、大家さんが好きなのか?白雪姫と七人のこびとのオブジェが置いてあり、息子は散歩の途中に、「こびとさんにあいにいくー!」と言って、一人ひとりこびとさんの頭をなでて、挨拶していくのだ。息子もちいさいので、8人こびとがいるみたいで微笑ましい。
わが家のこびとさんは、最近水遊びに夢中。桜木町方面へ出かけるときには、マークイズや横浜美術館前にある水辺でじゃぶじゃぶしている。この日は、風船がどこからか転がってきて、息子は喜々として追いかけて遊んでいた。
 
 
 
 
 
 
 

2016年6月12日日曜日

小さな家事見習いと一緒に“梅しごと”

ご近所の八百屋さんオススメの、完熟した南高梅を買ってきた。昨年は授乳中の身だったため、おっぱいが腫れるといけないので、梅ジュースも梅酒も禁じていたのだが、今年は晴れて梅ジュースも梅酒も解禁である。

今年の夏は暑そうなので、夏バテ対策に「梅シロップ」をたくさん作り、炭酸で割る梅ジュース(愛称:梅シュワシュワ)を飲もうと思っている。梅シロップは青梅で浸けるのが一般的だが、八百屋さんに完熟した梅で作るほうが、香りも甘さも際立って美味しいと教えてもらってからは、完熟梅で作るようにしている。ちなみに申年に浸ける梅は、難が去ると言って縁起がよいとのこと。

2キロ分の“梅しごと”をするので、家事見習いを募集したところ、2歳3ヵ月の息子が名乗りをあげた。よーし、やろうじゃないの!

まずは、足踏み台にあがって、梅を洗うところから。これは、米を毎日といでいる息子にとっては慣れたもののようで、手を入れてぐるぐる混ぜて洗っていた。小さめのボールを息子用に渡すのがポイントである。部屋中に梅の甘い匂いが漂っていて、なんとも幸せな気分になる。
次は、ヘタを取る作業。これはムリかな? と思っていたが、床に座らせて竹串を持たせて、私が見本を見せながらやらせてみたら、ほとんど一人でできてしまった。ヘタと言っても息子にはわからないので、「うめのおへそを、ぼうでほじってポンととるんだよ」と言って教えた。でも、力加減が難しいようで、軽くやればすぐに取れるのだが、息子はヘタを埋め込むように強くほじってしまうので、「最後はママが仕上げをしてからね」と言って、ヘタが取れているか確認してやった。
梅のヘタを取る作業は、息子には難易度が高かったが、やらせてもらったのがよほどうれしかったらしく、「ママのまねー」「こうくん、なんでもできちゃうねー」と言って楽しそうに梅しごとをしていた。

何でも自分でやりたい2歳児は、お願いされるのが大好き。男子といえども、小さな家事見習いとしてなかなかいい仕事をしてくれるのである。

キッチンペーパーを使って、水気をふき取る作業も息子と一緒にやった。梅の実は、近所の坂道にもよく転がっていて、遊んでいたのだが、食べ物として扱うのは今回が初めてなので、何をやっても新鮮な様子。

梅の実と氷砂糖を交互に入れ、最後に「おいしくなーれ、おいしくなーれ」と二人で呪文をとなえながら、お酢を回しかけて完成! 終わってしばらくたってからも、「うめしごと、もういっかいやる?」「うめジュースのむ?」と、何度も問いかけてくる息子。「一年に一度しかできない仕事ってものもあるんだよ」「時間をかけて待たないとできないものもあるんだよ」と、ママはさとすのであった。
息子と一緒に梅の実を数えてみたら、全部で48個あった。どうか美味しい梅シロップができますように。古い木造の家のわが家には、床下収納があるので、そこにしまっておくことにしたのだが、息子には秘密基地のように見えるらしく、不思議そうに床下をながめていた。