9月22日、門仲天井ホールで行われた河合拓始さんのピアノリサイタルへ行ってきました。河合さんは、現代音楽や即興音楽の自作の演奏を行う他、ダンス・朗読など他ジャンルとの競演もされているアグレッシブな方で、この日は8人の作曲家を取り上げた現代音楽のソロのピアノリサイタルでした。
山手の洋館のサロンコンサートでコラボレーションする、木村裕さんが2006年に作曲した「アイオーン」という曲がこの日、河合さんの生ピアノによって初めて演奏されるということで、私は招待されて聴きに行きました。「アイオーン」とは古代ギリシャ語で始原や日常を越えた大きな時という意味があるそうで、木村さんらしい透明感のある美しい曲でした。
この日取り上げた作曲家は、しばてつさん、高橋悠治さん、木下正道さんなど、ピアノの世界に疎い私にとっては初めて聞く名前ばかりでしたが、その世界ではかなり有名な方だそうです。私は一瞬一瞬目の前に立ち現れる、見えない音符の現代建築の世界に、ただただ圧倒されるばかりでした。
私がイメージしていた「ピアノ」という概念を大きく越えている音が、次から次へと出て来る感じで、私はクラシックピアノを子どもの頃に習っていたけれど、ピアノのことを何も知らなかったんだなとあらためて驚かされ、「ピアノ」という古い縛りから解かれて新しい楽器に出会ったような、自由になった気もしたのです。
この日の河合さんの出で立ちもユニークで、なんとド・ピンクなTシャツ姿でした。河合さんが1点もので作ったオリジナルTシャツなんだそうですが、そこには、「原発とめたい」とのメッセージが書かれていました。
「坊主、原発、グランドピアノ」「坊主、原発、グランドピアノ」
「坊主、原発、グランドピアノ」・・・・・・
これまで交わることのなかった言葉が私の頭をよぎり、
心地良い不協和音が生まれて、ニヤニヤ笑いが止まらない夜でした。
8人の個性豊かな作曲家を自らセレクトして、古い価値観を美しく軽やかに
ぶっ壊すような河合さんの演奏は、何の根拠もないけれど、
確かに原発を止めることができるかもしれない
という気持ちにさせてくれました。
ありがとう!
▼こちらの動画は、河合拓始さんの即興演奏です