2013年12月30日月曜日

行くいのち、来るいのち


「わが家は毎年毎年、激動だね」と夫婦で苦笑してしまうくらい、結婚を決めた2011年から楽しいことも苦しいことも、同じくらい濃密に経験してきた。

2013年を振り返ってみると、前半はアクシデントが続き本当に苦しかった。でも、大事なものは何もなくしていないし、ただ自分達に必要じゃないものがわかって、それらが消えていった、手放したというだけということにも気づける。そして、人との縁も、もつれあいながらより強くなったものもあるし、立ち止まらずに動きつづけたからこそ、広がった縁もあったと思う。

予想できないことが次から次へと起こるから、生きるって楽しいのかもしれない。いろいろあった2013年だけど、その時、その時で真剣にベストを尽くしてきたという満足感も味わうことができた。

2013年も、それぞれの人にとって、たくさんの「いのち」のドラマがあったと思う。あちらへ行く「いのち」もあれば、こちらへ来る「いのち」もあった。

川の流れのように、空をただよう雲のようにそれは人間の思惑を超えて、地球という大きな自然なうねりのもとに執り行われているという気がする。

2013年、わが家には小さな小さな「いのち」がやって来た。そのいのちが、私のお腹のなかで日々大きくふくらんでいる。育ちつつある、いのちとともに3人で迎える年末年始。

2014年、私たち夫婦は新米のパパとママになる。

きっと、この新しい命に導かれて私たち夫婦には多くの新しい経験や出会いが訪れるだろう。まずは肩の力を抜いて、新しいいのちがもたらしてくれる大きな自然の流れにどっぷり身をゆだねてみたいと思う。

少ない更新ながらも、ブログを見に来てくださった方、今年一年、どうもありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いします!

2013年12月30日
ことのは山房





2013年12月15日日曜日

たかがカレンダー、されどカレンダー2014年はコレで決まり!

「たかがカレンダー、されどカレンダー」
12月が来ると、私はいつもそんなことを思いながらお店へ走る。ご近所の国内外の古本と雑貨を扱うギャラリースペースを併設したお店greenpoint books & thingsで、2年前にひと目惚れして買ったのがイラストレーター落合恵さんのカレンダーだった。手のひらより少し大きい、こぶりのサイズで一枚一枚がばらばらになっている。

イラストのほうがメインで、日付のほうはさりげない大きさなのもいい。わが家では、和室の壁際にマスキングテープでぺらりと貼り付けている。クレヨンで描いたような、あたたかみのあるイラストと数字を見ているだけで心が和む。

自己主張の激しい実用的なくっきりはっきりしたカレンダーと違い、人の気持ちを焦らせずに、そっと暮らしに寄りそってくれる、そんな絶妙な距離感があるカレンダーに私はようやく出逢えた。紙の質感や色も月ごとに微妙に違っていているのも味わい深い。
今年は、気に入った猫のイラストをはさみでチョキチョキ切り抜いて、トイレの扉のガラス部分にマスキングテープで貼ってみた。電球のオレンジがかった灯り越しに見る猫はお客様にも好評だった。他にも手紙の封筒に切り抜いたイラストを貼ってみたり、役目を終えたカレンダーでお菓子を包んでプレゼントしたり、いろいろ楽しめそうだ。

山登りをする女子でもある、落合恵さんは山に関する本も出している。2014年版のカレンダーには、今年神奈川県の大山に初登山した時のエッセイが書かれたZINEが付録として入っていて、なかなかお得!
「greenpoint books & things」で売られていた最後の一部の落合恵さんのカレンダーは、ぎりぎりセーフで今年も無事にわが家にやってきた。

ほっとひと息ついて満足感に浸っていたところ、母から少し早めのクリスマスプレゼントをもらった。

包み紙を開けてみると、「味のカレンダー」と書かれた、縦長の箱が出てきた。「何これ!かわいい!!」アスパラガスがにょきっと伸びた、素朴なイラストが素敵な予感を漂わせていた。リング式で、日めくりになっているシンプルな卓上カレンダー。

「食べることが大好きな夫婦にぴったりだと思って、ひと目惚れして買ったの!」と、母は喜々として包み紙を開ける私を見つめた。本当は自分のために買いたかったらしいが、老眼鏡をかけないとコラムの文字が読めないから、諦めたのだとか(笑)

「味のカレンダー」は、昭和43年に創刊された食通のための月刊誌「味の手貼」から派生したカレンダーとのこと。旬の味を逃さずに食べられるようにという食いしん坊のために作られたカレンダーである。「365日、一日一食材へのラブレター」というのがコンセプト。食材の豆知識や、粋な調理法、こだわりの商品を売る店や、おすすめのレストランについても触れられている食のコラムは、読んでいるだけでお腹がすいてくる。
師走まっただ中の12月。ふたつのカレンダーを並べながら、2014年は、どんな一年になるだろうと思いを馳せてみる。甘い日もあるだろう、からい日もあるだろう、苦い日もあるだろう、酸っぱい日もあるだろう。どんな一日であっても、かけがえのない大事な一日には変わりはない。


「いただきます」

「ごちそうさま」


襟を正して一日を迎え、感謝の気持ちで一日を終え、淡々と日々を消化していく・・・・・・そして、貪欲に自分の血肉にかえて生きてけたらいいなと思うのだ。







2013年10月2日水曜日

11月3日(日・祝)「乙女湯のたしなみvol.12 あき」開催決定!<参加申し込み受付中>

2011年開催の「乙女湯のたしなみvol.11 なつ」集合写真
「暮らしに銭湯を」を合言葉に、「女性」「くつろぎ」「たしなみ(マナー)」という視点から、愛しいニッポンの誇り「銭湯」を舞台にこれまでイベントを開催してきた「乙女湯のたしなみ」。私ことのは山房も、銭湯好きがご縁で、2011年4月からメンバーとして参加しています。

震災を経て、乙女湯のたしなみメンバーも東京や大阪、福岡など暮らしの拠点が変わり、結婚や出産という変化を迎えたため、2011年夏以来、一年ぶりのイベント開催となります。「これからも、無理のないペースで開催していきたいね」と話していたところ、台東区にある喫茶店「Coffee Shop らい」という温かな憩いの場に、私たちメンバーは出会いました。

そして、この「Coffee Shop らい」を舞台に、店主のマスターをゲストに迎え、11月3日(日・祝)開催される「乙女湯のたしなみvol.12 あき」のテーマは、「手にしたことばは、あたたかい」です。

ノスタルジックな雰囲気が漂う「Coffee Shop らい」店内

愛しい喫茶ですごす、憩いのひととき。ひとりひとりの表情がみわたせる空間で「あたたかい」をキーワードにマスターの言葉を大切にいただきます。

そして、私たちから「あたたかい」くつろぎを紡ぐミニワークショップ(呼吸 de お灸)を提供させていただきます。(当日、マスターをサポートする私たちも喫茶空間にとけこむような装いでみなさまをお迎え致します)ワークショップと喫茶(座談会)で初対面同士みなさまの緊張がほぐれてあたたまった後は、最後の目的地である銭湯まで歩いてご案内します。

イベント恒例、全員でのんびり湯船の時間です。スタッフも、二手にわかれて一緒に入ります。芯からぐっとくつろいでいただけるように今回も時間を長めにとりますので、ワークショップでうちとけたかたと湯船でお話なさったり、スタッフや女将さんにも是非話しかけていただけたら嬉しいです。

ロッカーに準備させていただいている恒例入浴グッズは、韓国(銭湯旅行)で見つけてきたお土産のお風呂小物もプラスする予定です。どうぞお楽しみに!

◆イベント概要
「乙女湯のたしなみ vol.12 あき ~手にしたことばは、あたたかい~」
日時|11月3日(日・祝) 09:50開場/10:00開始(14:30終了)
会場|Coffee Shop らい(東京都台東区三筋2-24-10)
地図|http://tabelog.com/tokyo/A1311/A131103/13124625/
主催|乙女湯のたしなみ
料金|3,500円
*ワークショップ+喫茶、入浴料、乙女入浴グッズ一式 他

※終了後には、自由参加ではありますがゆっくりと会場周辺をお散歩できるような時間を予定しております。

「Coffee Shop らい」外観

◆参加申し込み方法
ご予約につきましては、「1103 乙女湯のたしなみ 参加」と件名にお書きいただき、ご参加いただくかたのお名前(複数いらっしゃる場合は、それぞれのお名前)とご連絡先、イベントをお知りになられたきっかけ等をお書き添えいただき、以下のメールアドレスにご連絡いただけましたら順番に受付させていただきます。
yunotashinami@gmail.com

◆これまでのイベント情報など詳細は
「乙女湯のたしなみ公式ブログ」をご覧ください

2013年9月4日水曜日

7月21日道草珈琲カフェ開催!新作のポエトリーリーディングも披露

7月21日(日)府中の珈琲焙煎舎にて、道草夫婦による出張カフェ「道草珈琲カフェwith OYATSUYA SUN」を開催しました。天気にも恵まれ、たくさんの方にいらしていただきました。
お越しくださった皆さん、どうもありがとうございました。

ことのは山房は、カフェ当日はフード担当で奥沢のOYATSUYASUNのブラウニーを使った特製パフェや

美好町で評判のお肉屋さん「市川精肉店」のジューシーなハムカツを使ったハムカツサンド(ピクルス付き)や

完熟の南高梅を使った自家製梅ソーダを提供しました。

夜の部では、食事を囲みながらOYATSUYA SUNのふたりをゲストに、「“場づくり”について皆で話そう」を開催。

ことのは山房は、文芸雑誌「アフリカ」20号(2013年7月号)に寄稿したオリジナルの詩「さよならを教えて」と、同じく「アフリカ」に掲載された犬飼愛生さんの「息子の発見」の詩を朗読しました。

「さよならを教えて」は、親愛なるクリネックスティシューとフランソワーズ・アルディに捧げた、ほろ苦い大人の恋愛模様を描いたシュールな詩。フランソワーズ・アルディのアンニュイな歌声をバックに、私も歌うようにポエトリーリーディングをしました。

「息子の発見」は、小さい子どもが言葉を獲得、発見していく光景を母の視点から描いたほほえましいユニークな詩。子どもが発するおもしろおかしい言葉のリズム、音の海の中にダイブするかのように愉快にポエトリーリーディングしました。

どちらもポエトリーリーディングするのは初の試み。私もドキドキワクワクしながら、楽しみました。会場のお客さんと一緒に痛さや笑いを共有できた至福のひとときでした。また、どこかでやりたいな。

夫の道草君が書いているブログ「道草の家の自由時間」にも、イベントの報告が載っていますので、こちらも、ご覧ください。



2013年5月25日土曜日

5月26日「珈琲焙煎舎」がマルミヤ市場に初出店!道草夫婦も出張します

いつか誰かが「絵は才能ですか」と訊いたら「いや経験ですよ」と熊谷さんは答えたという。経験とは、不断の探究の蓄積である。

(谷川徹三 「熊谷守一の人と絵/熊谷守一「へたも絵のうち」収録)
 
写真は、最近気に入って読んでいた、画家の熊谷守一の「へたも絵のうち」に収録されたいた熊谷さんの顔写真。自宅で撮った晩年の一枚だそうだが、きざみタバコをふかし、長いひげをたくわえ、肩に小鳥をのせた姿は仙人のようで、息をのむ美しさです。
 
店主一人での営業が始まった昨年10月以降のトータルバッチ数が2000回を越えたという、府中の「珈琲焙煎舎」。日々経験を重ねている珈琲焙煎舎の歩みと重ね合わせて、上記の言葉を引用しました。ちなみに、珈琲焙煎舎は、全国でも数軒しかないだろうといわれている、手網焙煎にこだわった珈琲豆専門店です。
 
手網焙煎は、手間はかかるけれど、ほんのわずかな火加減や網の回転速度などをコントロールすることで、珈琲豆本来の旨みを最大限引き出すことができ、ごく少量ずつ焙煎することで、いつでも新鮮な珈琲豆に仕上げることができるそう。
 
私は長年、飲み物は紅茶党もしくは緑茶党で、珈琲は苦手でほとんど飲めなかったのですが、珈琲焙煎舎の珈琲と出逢ってからは、酸っぱい、苦いだけと思っていた珈琲のイメージは覆り、甘みや、まったりとしたコク、すっきりとした苦味など珈琲の奥深さを知って、毎日飲んでも飽きない珈琲焙煎舎の珈琲豆に心を奪われた一人です。
 
道草君こと、夫が住んでいたマンションの目の前に2011年11月11日オープンした「珈琲焙煎舎」とは、不思議なご縁でつながり、私たちの結婚パーティーにも出張してもらうなど親戚のようなお付き合いが続いており、道草君をイメージした珈琲豆「道草珈琲ブレンド」をはじめ、文芸誌「アフリカ」の販売でもご協力をいただいています。
 
5月26日は、立川にある「食堂marumi-ya」で、奇数月に行われているマルミヤ市場に初出店することになった「珈琲焙煎舎」のお手伝いに道草夫婦もかけつけることになりました!
 
店主であり、バリスタでもある飯島里沙さんのハンドドリップで味わう珈琲は格別の美味しさ!ぜひ、この機会に手網焙煎の珈琲を味わってみてください。珈琲焙煎舎ブレンドをはじめ、普段は販売していない道草くんをイメージした幻の!?道草珈琲ブレンドも限定販売。私がエッセイや小説を寄稿している、文芸誌「アフリカ」の販売もありますので、どうぞお楽しみに!
 
マルミヤ市場では、珈琲焙煎舎の他にも、渡邊桃子さん、ネムカフェさん。さらにヤマムラエツコさん、ヤケテカタマレさん、アンジュールさん、ハルハナベーグルさんなど、こだわりのお店や作家さんの素敵な作品が並びますので、ぜひ足をお運びください!
 
また、当日は、食堂marumi-yaによる、イベント限定のお弁当・おにぎりなどの販売もあり、イートインスペースで味わうことができます。目の前には公園もあるので、初夏の風に吹かれながらピクニック気分で楽しむのもいいですね。
 
 
第5回 マルミヤ市場
開催日:5月26日(日)
時間:11時~16時
会場:食堂marumi-ya(立川市錦町1-5-6サンパークビル206)
電話:042-528-6226
 
詳細は、食堂marumi-yaのブログをご覧ください
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

2013年5月15日水曜日

文芸誌「アフリカ」19号に、エッセイ「大きい便り」を寄稿しました!

下窪俊哉が編集人をつとめる文芸雑誌「アフリカ」19号が、無事に完成しました!昨年春からは隔月に発行してきたアフリカですが、今回は1回お休みして5月20日発行となりました。定期購読されている、皆さん、お待たせしてすみません。

5月14日より、府中の珈琲焙煎舎をはじめ、都内各所にて順次販売を開始しています。インターネットからの購入も受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください。バックナンバーもありますよ。

▽「アフリカ」に関する詳細は、こちらをご覧ください
公式ページ オール・アバウト・アフリカンナイト


今回私は、保育園を舞台にした「大きい便り」というエッセイを寄稿しました。エッセイ内に、私の描いたイラストも載っているのですが、これがなかなかいい味を出していて、個人的に気に入っています。ある身近な男性の幼少期の写真をモデルにしているとか。(わかる人にはわかる?)ぷりっとして、かわいいー&ヌードです!!(大事なところは見えているのか!?)エッセイ巻末の豆知識的な注釈にも注目です。

新しい旅立ちの予感をさせる、「アフリカ」ヨット号!
順風満帆じゃないからこそ、見えてくる景色がありそうです。店舗でご覧になる方は、表と裏を写真のようにつなげて見てみてくださいね。



【目次】

校正以前 黒砂水路
 
それだけで世界がまわるなら〜堂々と無職〜 高城青
 
大きい便り 芦原陽子
 
current directory 守安涼
 
御幸町御池下ル〜2、夏の帯 中島悠子
 
『新・本とつきあう法』を読みながら 下窪俊哉
 
海藤先生の思い出 片山絢也
 
執筆者など紹介
 
道草珈琲通信
 
編集後記

 
 
 

2013年4月30日火曜日

Michi-Kusa公式サイト 4月のリレーエッセイに「遅咲きの青春」を寄稿しました!

横浜を中心にカフェイベントやトークショーを展開する「Michi-Kusa」公式サイトでは、ミチクサ1号(芦原陽子)&2号(荒澤文香)を筆頭に、縁のあるゲストをお迎えして、隔月でリレー形式のエッセイをお届けしています。
 
4月のテーマは、「小さな春みつけた!」です。芦原陽子は、最終ランナーで登場。去年の春からハマッている電車の旅について綴りました。ぜひご覧ください。

◆ Michi-Kusaリレーエッセイ 4月 ◆
 
▽第四走者: 芦原陽子(ミチクサ1号)
「遅咲きの青春」4月29日更新



4月のリレーエッセイは、横浜を拠点に活躍されている古書店店主の稲垣 篤哉さんと染織家の森 文香さんが登場してくださいました。こちらもあわせてご覧ください。
 
▽第一走者:荒澤文香(ミチクサ2号)
「春の音」4月8日更新
http://michi-kusa.net/essay/archives/175

▽第二走者:稲垣 篤哉 (古書店主)
「夜明け桜」4月15日更新
http://michi-kusa.net/essay/archives/178

▽第三走者:森 文香 (染織家)
「光さす季節に」4月20日更新
http://michi-kusa.net/essay/archives/181

2013年4月29日月曜日

生と死の狭間の季節に


季節は4月から足早に5月へ移ろおうとしている。道草の家の庭には、ガクアジサイの茎がぐんぐん伸び、太陽に向かって背伸びをするように、若々しい緑の葉を広げ輝やかせている。

葉の先端をかきわけるようにのぞき見ると、花を咲かせる時期を今か今かと待ちわびているかのように、たくさんのつぼみがスタンバイしていた。じめじめとしたうっとおしい雨も、アジサイにとっては恵みの雨であり、道行く人の目を美しい花で独占できる、うきうきする季節なのだろう。

引っ越してきたばかりの去年は、手入れが行き届かず、たった一輪しか咲かなかったガクアジサイ。「花が終わる時期に切り詰めておかないと、来年咲かないよ」と義父に言われ、その言葉通りに、夏が始まる前に、青々とした葉にバッサバッサと私はハサミを入れた。

こんなに切ってしまって大丈夫だろうか?少しビクビクしながらも、ハサミを入れていく作業は心地よかった。葉がほとんどなくなると、真新しい風が吹きぬけていくのがわかった。

ハサミを入れられ、死に落ちていったたくさんの葉っぱの分だけ、ガクアジサイは、今年、きれいな花をたくさん咲かせるだろう。ガクアジサイの若々しいつぼみを見ながら、


生と死は、表と裏であり、
両者には優劣はなく、どちらが良い悪いと、
簡単に片づけられるものではない
とあらためて考えさせられた。

また、生と死は、吸って、吐いてという呼吸にも似て、
二つがひとつながりで、どちらが先か後かということも言えない。

老いたり病んだりした後に訪れる自然死と、
自ら死を選ぶ自死(自殺)も、どちらが良い悪いと、
簡単に言葉で片づけられるものではない。

死に方や死んだ理由は、どうであれ、
その人がどう生きたのかを知ることのほうがはるかに大事だ。
死んだように長々と生きた人と、
短くとも生き生きと自分を活かし切って生きた人では、
同じ一年が大きく違うだろう。


ひとつの死と直面することで、残された家族や友人や、伝え聞いたまったく関係のなかった人々でさえ、どう生きていくべきか、そもそも、自分はちゃんと生きているのだろうかと自問するきっかけをもらう。そして、当たり前の命などないこと、命の尊さについて、立ち止まって考えさせられる。自己中心的で、暴走しがちな人間には、時々そうする必要があって、死というものに直面させられるのかもしれない。

生と死は、移ろっていく自然の流れの一部でしかなく、
移ろいたい(死にたい)という思いは、
自然の流れなのだから、
一時的には止められたとしても、
究極的には誰にも止められないだろう。

人が生の方向へ移ろおうとも、死の方向へ移ろおうとも本来自由なのだと思う。それを周りの人が勝手に、「良い」「悪い」と意味づけして騒いでいるに過ぎない。毎年自殺者が増えた減ったで一喜一憂しているのも、おかしな話だ。だから私は、生も死も、人の数だけあることを認め、移ろうままに、あるがままに、受け止めていくしかないと思っている。


私は、去年一輪だけ咲いたガクアジサイの花を、あえて切らなかった。ちゃんと切れば、その茎から来年また新しい美しい花が咲くことはわかっていたのだが、どうしてもできなかった。

それは、ガクアジサイがいつまで生きているのか、いつから死んだのか、その境目が、私にはわからなかったからだ。正確には、一年経った今でもわからないままだ。これは、自死遺族の気持ちと似ているかもしれない。

花をほとんど落とし、色も褪せ、風雨にさらされ、それでもしぶとく残ったガクアジサイ。魂はもうとっくに抜け出てしまったのかもしれないが、ドライフラワーになり、化石のようになっても、後世まで生き続けたいと、望んでいるようにも思えてくる。

でも、これは私の想像でしかなく、言葉を持たないガクアジサイと私は、ずっと平行線で交わることはないだろう。ガクアジサイの意思は、ずっとわからないままだ。


なので、勝手に朽ち落ちていくなら、それもよし、
残っていたいならそれもよしと、
ただ静かに見守ることにした。


生きることの意味や、死の意味を
いつまでも、あれこれ考え続けるのは勝手だが、
私たちが生きていられる時間は限られているので、
考えてばかりで、時間を無駄にしてしまっては本末転倒だ。

だから、すべてをわかろうとしなくてもいいし、
わからないままにしておいてもいいのだ、
ということを、私たちは覚えておく必要があるだろう。
それが、健やかに生きるために許された、知恵のひとつなのだと。





2013年4月2日火曜日

春の嵐の後に、奇跡の神戸牛!


3月は、仕事面でも、健康面でも、トラブル続きで荒れに荒れた道草家。
相手に非があろうと、理不尽であろうと、自分が蒔いてしまった種だから、
責任をもって自分で刈り取るしかないと腹をくくって、
最後は、夫婦でタッグを組んでもろもろの後始末をしました。

長期にわたって、こんがらがってもつれてしまった糸は、
ほぐすよりも、いっそ怒り狂って燃やしてしまったほうが
早いんじゃないかと思ったりもするけれど、

相手の言い分と、自分の言い分を聞いた上で、
なんとかゴール(完結)するために、今何をすべきかを整理して、
忍耐強くこんがらがった部分をほぐして、お互いが納得するカタチに
少しでも近づける努力をする必要がありました。

自分も相手も大切にしながら、自分の意見、考え、 気持ちを率直に、
正直に、その場にふさわしく表現する、コミュニケーションスキルのことを
「アサーション」というそうで、まさに、アサーション能力を試される事件に
遭遇したといっていいでしょう。いろいろ啓発本も出ているらしいから、
私も今度読んでみようかな。

私は、わりと営業向きらしく、アサーションがもともと得意なほうなので、
なんとか第三者的立場で、修羅場を丸く収めることができましたが、
いやはやなんとも骨の折れる仕事でした。

そうそう、よくありがちな日本人のパターンとして、
自分に非がないのに、自分より立場が強い相手にペコペコ謝りすぎる
という問題点があります。私は相手が誰であろうと、無意味に謝るのは
好きじゃないから、絶対謝らないけど!!(笑)

でも、こうやったらこの問題は回避できたという、反省点を見つけて
相手と共有して、努力が足りなかった部分に関しては、
素直に謝るということは、もちろんやります。

春の嵐とはいうけれど、いやはや試練の春でした。
道草家にとっては、かなりの痛手でしたが、
何が必要で、何がもういらないかがはっきりとわかったので、
いろいろと良い勉強になりました。

どん底まで沈んで、希望がないように思われた道草家に、
ある方からドドーンと神戸牛が贈られて来ました。

「肉でも食べて、元気出しなよ!」という意味で贈ってくれた
そうですが、いやはやなんとも、粋なことを!!

昨夜は、ありがたや~~と、神戸牛に手を合わせてから
夫婦仲良く、ジュージュー焼肉でいただきました。
骨身にしみる旨さでした。

4月からは、気持ちも新たに、またヨチヨチ歩き出そうと思います。
転んでも、何度でも仕切り直せばいんだもんね。

親身にアドバイスしてくれたり、温かい励ましの言葉をかけてくれた
皆さま、ありがとうございました。



2013年2月3日日曜日

朱に交わって赤鬼に?・・・Let Go of Stress!


きょうは、2月3日。世の中は節分らしい。
今のところ、豆も恵方巻も準備していないのだが、
心の中では、「鬼はー外、福はー内」と、見えない鬼に向かって、
豆を鷲づかみして、剛速球で投げまくっている。

とういのも、ここのところ大きなストレスに見舞われて、
心身ともに辟易していたからだ。

そんな時に、たまたまあるお店で一枚引かせてもらったユニコーンの
オラクルカードが、「Let Go of Stress!(ストレスを解消しましょう!)」だった。

カードのメッセージは、
「他の人のストレスをもらわないでください。すぐに息と共に吐き出しましょう」
すごく今の状況に当てはまっていたので、思わず笑ってしまった。

さらにメッセージを読み進めると、
  周りの人達があまりにも張り詰めているせいで、
  あなたの体は緊張しています。
  そのため、実際にストレスがあるのは彼らなのに、
  あなたは自分にストレスがあるように感じています。
  ストレスは人に悪影響を与えるので、怒りっぽくなったり、
  悲しくなったり、また、よく眠れなくなることもあります。
  さあ、そろそろ何とかしなければなりません。

と書かれているのだった。うーーん、まさにビンゴ!と叫びたくなる内容だった。
これを読んで、私は「朱に交われば赤くなる」という諺を思い出した。
人は交わる友や、また環境によって、良くも悪くもなるという意味だ。

このオラクルカードを引いた時には、すでに自分に悪影響を与える環境を
去る決意をしていたので、やっぱり自分の決断は正しかったのだと思った。

朱に交わって、他人のせいで赤鬼のように怒りや
ストレスを被るなんて、まっぴらごめんだ。
「そんな無駄な時間や労力を費やす暇はないぜ!」と、
心の中で叫びながら、豆を剛速球で投げつける私であった。

<追伸>
私が初めて書いた小説「光」が無事に『アフリカ』最新号に掲載されました。
妊娠~流産を経たある女性の物語です。
中島古書店他にて好評発売中!よろしければ、ご覧ください。
▽「アフリカ」最新号情報
https://sites.google.com/site/africannightpart2/Home/saishin-gou




2013年1月3日木曜日

橙(だいだい)、もっとワガママに

 
新年、明けてしまいましたねー。
今日は、1月3日。ブログを書こうとしたら、
横浜でも初雪が降ってきました。
どうりで寒いはずだ。

お正月は、買ってきたおせち料理を色どり良くお弁当箱につめて、
煮しめ、酢ばす、お雑煮、サーモンとハムを使ったオードブルを手作りました。
お嫁さんとしては新米なので、まずはムリせずできることをやりました。
いつもより時間がかけられる分、丁寧にだしをとり、
分量をしっかり計り、レシピ通りにやることを心がけました。
お正月の料理は、自分も作っていて楽しかったし、
肩のこらないおもてなし加減で、夫にもお客さんにも
喜んでもらえたので、これで正解だったようです。

よし、よし、順調なすべり出し。
最初が肝心ですからねー。

新年を飾る写真は、1月2日に初来客からいただいたハンコにしました。
「道草夫婦にぴったり!」と思って、買ってくださったそうです。
確かに似ている!!
二人とも手紙をよく書くので、さっそく押してみようと思います。

ハンコの後ろは、「橙(だいだい)」にしました。
実が木についたまま年を越すところから「代々」として
縁起が良いため、正月のお飾りにも使われますね。

私も年齢を重ねたせいか、「代々」という命のバトンであったり、
前の世代から何を受け継ぎ、次の世代に何を受け渡せるだろうか、
ということをぼちぼちと考えるようになりました。

自分も楽しめることで、他の誰かも楽しめて、
「ありがとう」と言ってもらえる・・・・・・
そういうことを、仕事でも日々の暮らしのなかでも、
これまで以上に、もっと大切にしていきたい、そう思います。

それは、別の言葉で言いかえるなら、
自分の嫌なことはしない
相手の嫌がることもしない
ということでもあります。

「ワガママ」と他人に指さされるくらいが、ちょうど良いのかも。
「ワガママ」とは「私のままでいる」ことでもあるから
本来は、ワガママのほうが自然です。

自分も相手も、無理強いしない。
そうすることが、お互いのストレスをなくす近道であり、
気持ち良く生きて行くための基本なんでしょうね。

自分を、誰かを思い通りに、コントロールしようと思い始めたら、
橙のおだやかなオレンジ色を心に思い浮かべて
深呼吸してみる必要がありそうです。

スーハー、スーハー・・・
2013年も、良い一年になりますように、
スーハー、スーハー・・・
今年もどうぞ、よろしくお願いします!

2013年1月3日