「たかがカレンダー、されどカレンダー」
12月が来ると、私はいつもそんなことを思いながらお店へ走る。ご近所の国内外の古本と雑貨を扱うギャラリースペースを併設したお店greenpoint books & thingsで、2年前にひと目惚れして買ったのがイラストレーター落合恵さんのカレンダーだった。手のひらより少し大きい、こぶりのサイズで一枚一枚がばらばらになっている。
イラストのほうがメインで、日付のほうはさりげない大きさなのもいい。わが家では、和室の壁際にマスキングテープでぺらりと貼り付けている。クレヨンで描いたような、あたたかみのあるイラストと数字を見ているだけで心が和む。
自己主張の激しい実用的なくっきりはっきりしたカレンダーと違い、人の気持ちを焦らせずに、そっと暮らしに寄りそってくれる、そんな絶妙な距離感があるカレンダーに私はようやく出逢えた。紙の質感や色も月ごとに微妙に違っていているのも味わい深い。
今年は、気に入った猫のイラストをはさみでチョキチョキ切り抜いて、トイレの扉のガラス部分にマスキングテープで貼ってみた。電球のオレンジがかった灯り越しに見る猫はお客様にも好評だった。他にも手紙の封筒に切り抜いたイラストを貼ってみたり、役目を終えたカレンダーでお菓子を包んでプレゼントしたり、いろいろ楽しめそうだ。
山登りをする女子でもある、落合恵さんは山に関する本も出している。2014年版のカレンダーには、今年神奈川県の大山に初登山した時のエッセイが書かれたZINEが付録として入っていて、なかなかお得!
「greenpoint books & things」で売られていた最後の一部の落合恵さんのカレンダーは、ぎりぎりセーフで今年も無事にわが家にやってきた。
ほっとひと息ついて満足感に浸っていたところ、母から少し早めのクリスマスプレゼントをもらった。
包み紙を開けてみると、「味のカレンダー」と書かれた、縦長の箱が出てきた。「何これ!かわいい!!」アスパラガスがにょきっと伸びた、素朴なイラストが素敵な予感を漂わせていた。リング式で、日めくりになっているシンプルな卓上カレンダー。
「食べることが大好きな夫婦にぴったりだと思って、ひと目惚れして買ったの!」と、母は喜々として包み紙を開ける私を見つめた。本当は自分のために買いたかったらしいが、老眼鏡をかけないとコラムの文字が読めないから、諦めたのだとか(笑)
「味のカレンダー」は、昭和43年に創刊された食通のための月刊誌「味の手貼」から派生したカレンダーとのこと。旬の味を逃さずに食べられるようにという食いしん坊のために作られたカレンダーである。「365日、一日一食材へのラブレター」というのがコンセプト。食材の豆知識や、粋な調理法、こだわりの商品を売る店や、おすすめのレストランについても触れられている食のコラムは、読んでいるだけでお腹がすいてくる。
師走まっただ中の12月。ふたつのカレンダーを並べながら、2014年は、どんな一年になるだろうと思いを馳せてみる。甘い日もあるだろう、からい日もあるだろう、苦い日もあるだろう、酸っぱい日もあるだろう。どんな一日であっても、かけがえのない大事な一日には変わりはない。
「いただきます」
「ごちそうさま」
襟を正して一日を迎え、感謝の気持ちで一日を終え、淡々と日々を消化していく・・・・・・そして、貪欲に自分の血肉にかえて生きてけたらいいなと思うのだ。
0 件のコメント:
コメントを投稿