2015年12月31日木曜日

2015年も、無事に“道草”納め

1歳9ヵ月の息子は、歩き盛りで私は散歩という名の“道草”に毎日付き合わされている。

今日は大みそかで、家では朝から大掃除に忙しく、あまり息子にかまってあげられなかったので、食後の散歩は好きなところへ行かせてやろうと思ったら、けっこう遠くまで歩かされてしまった・・・・・・。

急な階段をてくてく下りて、小石をマンホールの穴に落とす遊びをし、駅前で電車を見て、お気に入りのバスをベンチに座って見送って手を振り、坂道を上って帰ってきた。途中で疲れておんぶし、横断歩道など危ない場所は、抱っこをして40分くらいじっくり歩いた。

息子は家にばかりいると、キーキーキーキー奇声をあげて大変で、お互いストレスになるので、一日一回の散歩や公園遊びは欠かせない日課となっている。

私も子育てで腰痛が悪化し、歩いたほうが体がラクなので、できるだけ歩くようにしているのだ。

散歩をした後の私のお楽しみは、息子のお昼寝タイム。うまくいくと1時間~2時間くらいは寝てくれるので、その間に料理や庭仕事をしたり、パソコンを開いたり、裁縫をやったりしている。

そして、もうひとつのお楽しみがお昼寝後のおやつタイムだ。秋から冬にかけては、さつまいもをたくさん食べた。私は生まれてからこんなに芋を食べた記憶がないというくらい、過去最高に食べたと思う。さつまいもとりんごとレーズンを鍋で蒸し煮したものは息子のお気に入りで、シュタイナーの幼稚園の親子教室でも砂糖を使わないヘルシーなおやつとして、よく出される人気のメニューだ。

写真は、250度に温めたオーブンで30分焼いた自家製の焼き芋。今まではお店で買っていたが、親子でたくさん食べたいので、家でも焼くようになった。こんがりと皮が香ばしい焼き芋のおいしさは、なんとも格別である。

さて、道草つながりでひとつご報告が。横浜を拠点にデザイナーの荒澤文香さんと共に4年間活動してきた『Michi-Kusa』サイトが、年内で最後の更新を終えて、“道草納め”することになりました。これまでイベントやエッセイに参加してくださった皆さま、どうもありがとうございました。年明け後もしばらくサイトの閲覧はできるので、読み残したエッセイなどあれば、どうぞこの機会にご覧ください。

では、皆さまも、よいお年を!
来年も、気ままに『ことのは山房のポケット』のブログを更新していきますので、よろしければまた遊びにきてください。

2015年12月31日 ことのは山房








2015年12月30日水曜日

2015年、わが家の流行語大賞発表!

息子は1歳9ヵ月になり、日に日に言葉の数が増えてきた。「さしすせそ」が苦手な息子は、母音だけが前へ出て、不思議な言葉を発して私たちを笑わせる。子どもの成長はめざましく、そんな笑いを気にすることもなく、前へ前へとずんずん進んでいく。

今日、息子はついに2語文から3語文の世界へ足を踏み入れた。息子が最初に言った3語文とは、『パパ、トイレいっちゃった』であった。パパがトイレに入ったドアの音を聞きつけて今朝、息子は私にはっきりそう言ったのだ。

今年も残すところあと1日となったので、ママが勝手に審査員となり、2015年の、わが家のというか・・・・・・息子の流行語大賞を発表することにしよう!とてもひとつに絞り切れないので、金メダル・銀メダル・銅メダルも紹介したいと思う。


銅メダル:『 がっこしたいね~ぎゅ~って 』

<審査員コメント>
最近、ますます愛情表現が豊かになってきている息子は、何に対しても『がっこしたいね~ぎゅ~って』と言って両手を広げ抱きついている。道を歩いていてかっこいい車に出会うとき、大好物のコーンやチーズパンに、そして相棒のぞうのぬいぐるみパオーンちゃんに対しても、愛情を抑えきれない様子だ。情熱的なイタリア人の血でも流れているのだろうか?


銀メダル:『 レッグウーマン 』

<審査員コメント>
息子は砂場遊びが大好きで、寒い日にも近くの公園へ出かける。最近は、寒さと砂よけ対策としてママがレッグウォーマーをはかせているのだが、なぜか息子は「レッグウーマン」としか言えない。それも得意げな顔をして連呼するので、ママはおかしくて仕方がない。これと似たような言い間違えに、『イポクン』(柑橘のデコポン)がある。


金メダル:『 アンタ! 』

<審査員コメント>
秋から冬にかけて、サンタクロースの存在を徐々に知るようになった息子。街で見かけるサンタクロースの飾りや、絵本の中でサンタクロースを見つけると、うれしそうに『アンタ! アンタ! 』と言っていた。さ行が苦手な息子だが、練習の成果が出て、だんだんと『サンタ』と発音できるようになってきている。


流行語大賞: 『 デュワ・デュワ・デュ~ 』

<審査員のコメント>
息子の意味不明な言葉の中で、最もおもしろかったのが『デュワ・デュワ・デュ~』。両手の人差し指を前へ突き出し、前のめりになりながら、どこかのお笑い芸人のようなポーズをして、この言葉を発する。(わが家にはテレビがないので、お笑い番組は見ていない)

近頃は、『ママにデュワ・デュワ・デュ~』など、誰かに向けてあやしい笑みを浮かべながら言っていることもあるが、いまだに意味がよくわからない。この言葉に似た、意味不明なものに人差し指を上に突き上げながら、『ジルバー』というのもあった。


2015年12月29日火曜日

いざ、日本画の迷宮へ

横浜美術館で開催中の企画展『中島清之 日本画の迷宮』の招待券が手に入ったので、一人で観に行ってきた。

前回は、開館記念日の入場無料の日で、ベビーカーに乗せた息子と、かっとばして観てしまったため、じっくり作品と向き合うことができたのは、今回が初めてだった。

大正時代に京都で生まれた中島清之(なかじまきよし)は、横浜を終の棲家とした日本画家で、関東大震災の時は、わが家のある山手で被災したという。三渓園の襖絵を手掛けたことでも知られている。

優れた描写力と、新しい技法を次々と取り入れていく柔軟性と、創作意欲は晩年まで続いていたことがその作品群からはうかがい知ることができる。

私が一番心を惹かれたのは、金箔や銀箔を使った作品たちだ。これだけ金や銀を多用すると、ギラギラし過ぎて嫌味な感じがするはずだが、清之の作品には一切それがない。本物の自然を見るよりも、絵を見たほうがよりリアルに感動が伝わってくる。物の本質を見極め、デフォルメして再構成することに秀でた作家なのだろう。

凍えるような樹木の木肌を表現した『霧氷』、燃えたぎるような赤が印象的な仏を描いた『顔』、ちあきなおみが熱唱する姿を描いた『喝采』に魅了された。

着想から50年近くたってから描かれたという『緑扇』の竹の葉が重なり合う、清涼感のあるきらめきは、圧巻である。

一人の作家が描いたとは思えない、作品の変幻ぶりを堪能していくうちに、自分を制限しているのは、他の誰でもなく“自分”であることに気づかされる。

清之の絵は、日本画という小さな枠にはまりきることのできない、自由な魂があふれていた。静かに軽やかに、着実に自分の信じた道をまい進しつづける清之の姿に、ずいぶんと励まされた。

展覧会は年内は終了しているが、来年の1月11日まで開催しているので、ぜひこの機会に観に行ってほしい。年明け初日の1月3日は、観覧料が無料となるので、初詣気分で出かけてみるのもいいだろう。

写真は、根岸森林公園の美しい紅葉のシャワー。寒さが厳しくなるにつれ、葉の色の濃さが一段と増してきた。





2015年12月27日日曜日

クリスマスの余韻に、まだまだ浸る

夫も新・道草のススメ!の「偽物にもなれない」で書いていたが、ビジネスを中心に動いている世の中は、クリスマスをあれだけ盛り上げておきながら、翌日からもうさっさと正月商戦に走ってしまい、クリスマスの余韻に浸らせてくれない。

まだ幼い子どもたちにとっては、大人の都合はわからないから、急にクリスマスではなくなってしまった街を見て、何でだろうと不思議に思うだろう。

息子もようやく「アンタ」から「サンタ」と言えるようになってきて、トナカイのこともわかってきたところなので、もう少し親子で余韻に浸るつもりだ。

今年のクリスマスを美しい絵を言葉で彩ってくれた“名わき役”の絵本とともに!

夫が、小さな息子にもわかる絵本をと探してきてくれた『クリスマスまえのよる』(主婦の友社)は、長ぐつサイズの縦長の形をしたクリスマスの絵本だ。アメリカの詩人でクレメント・C・ムーアの詞に、絵本作家でテキスタルデザイナーでもあるロジャー・デュボアザンが絵を描いている。

えんとつからサンタクロースが落ちてくるシーンや、屋根の上をトナカイとそりにのったサンタクロースが駆け上がっていくシーンは、躍動感があり読んでいる私もついつい力が入って興奮してしまう。シンプルなことばで表現している、翻訳のこみやゆうさんの力も大きいのだろう。こみやさんは、阿佐ヶ谷で家庭文庫「このあの文庫」をやっているそうで、そちらも気になっている。

まるぽっちゃとしたサンタクロースの姿や、暖炉の上にかけられたくつした、くつしたの中に入ったたくさんのプレゼント、美しく飾られたクリスマスツリーなど、クリスマスのイメージがすべてこの一冊につまっているのだ。19世紀に生まれたというクレメントの詞は、色あせることなく今も人々に夢を与え続けている。

子どもの頃にこんな絵本を読んでもらいたかったな・・・・・と、ちょっと息子をうらやましく思いながら、私も一緒にクリスマスの美しい情景に浸りながら余韻を楽しもうと思う。