この絵本を読み聞かせ始めたのは、生後5ヵ月くらいだったろうか・・・・・・。
西村繁男 作の『おふろやさん』(福音館書店)は、私の友人からおさがりでもらったものだが、もう飽きるほど読んだ息子のお気に入りの一冊のひとつだ。
これまでにも、息子は鹿児島や箱根での家族旅行で温泉に入ったことはあったが、まだ町の「おふろやさん」に行ったことはなかった。
私たち夫婦の行きつけのおふろやさんである、山手駅近くの「いなり湯」は、驚くほど絵本の『おふろやさん』によく似ている昔ながらの銭湯なので、息子を早く連れて行ってやりたい思っていたのだ。
銭湯好きな私は年明けの初湯まで待ち切れず、冬至のゆず湯に息子をはじめて「おふろやさん」へ連れて行くことにした。冬至の当日が銭湯の定休日ということで、一日前倒しでのゆず湯となった。
下駄箱に靴を入れるまではよかったのだが、一緒に入れると思っていたパパと男湯で別れてしまったため、女湯で「パパー! 」と泣き叫ぶアクシデントが発生した。周りのおばあちゃんたちが、ゆずの実をエサにして、息子をあやしてくれたので、どうにか泣き止んでゆず湯に親子でつかることができた。
『おふろやさん』の絵本には、文字がほとんどなく、ほぼ絵だけ。なので、これまでは私が絵から連想したオリジナルの文やセリフを作り、効果音などを交えながら読み聞かせていたのだった。
息子は、絵本と同じように富士山の絵が描かれてあること、赤と青の水道の蛇口があること、脱衣かごがあることを発見し、興味津々にあたりをキョロキョロ見回してうれしそうだった。一番興味を示したのは、男湯にあった水槽の金魚だったとか。
息子は、ゆずの実が浮かんでいるのを見て、大好きなみかんだと勘違いして、一瞬かじろうとしていたが(笑)みかんではなく、香りのよいゆずだと教えると、クンクン匂いをかいでは桶の中に浮かべて遊んでいた。
銭湯から出た後に、おなかがすいてきたので、「おやつに焼き芋を買って帰る」と言って仕事へ行く夫と別れたのだが、そういえば『おふろやさん』の絵本の最後もそうだったと思い出し、笑ってしまった。無意識のレベルで、ストーリーが私の中に刷り込まれていたようだ。
写真は、ゆず湯から帰ってから家で絵本を手にしているところ。おさらいするように、何度も読んでとせがまれた。
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