元写真店を改装した2階建ての古い木造のお店は、狭く急な階段をおそるおそる、ゆっくり上ると小屋のようでもあり秘密基地のようなギャラリースペースがあり、毎回訪れるたびにワクワクさせてくれる。
このギャラリースペースで、1月30日(土)まで開催中の「 Beige Snow Flakes 羊色の雪」展を息子と一緒に観に行ってきた。(※会期中は基本的に土曜日のみ営業とのこと)
展示は、画家の伴美里さんがお母様と一緒にされている編み物プロジェクト Chomo Chomoによるもの。
友人のズアン課 スズキチヒロさんが本のデザインを手がけ、画家の伴美里さんが身近にある100の好きなものをドローイングした『100Things in My Room.』(utrecht)というペーパーブックサイズの本を手に取ったのがきっかけで、伴さんに惹かれた私は、彼女の作品も出品されていた千葉の川村記念美術館の『静寂と色彩 : 月光のアンフラマンス』を観に行ったのだった。それが2009年なので、伴さんの作品を身近に観たのは7年ぶりということになる。
雪氷学の基礎を築いた中谷宇吉郎の記録から編み図を起こしたという、ウールの暖かな雪のオーナメントは、アクセサリーサイズのものから大きなものまであり、白壁に映し出されたシルエットの美しさも含めて、天上から地上に舞い降りてきて消えてしまう儚い雪の世界を、じっくりと堪能できる。
会場に置いてあった、『天然生活』の雑誌の中に、伴さんの編み物に関するインタビュー記事が載っていたのだが、お父様の体調がすぐれず家の中に緊張が走った時に、伴さんとお母様は、編み物に向かうことで心が静まったということが書いてあったのが印象的だった。
昔からある手しごとのひとつである、編み物。マハトマ・ガンジーの非暴力運動ではないが、女性が誰かのことを思いながら、黙々と手を動かし、美しさと静けさと平和をコツコツと編み上げていくことの、大切さをあらためて感じたのであった。
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