2016年1月30日土曜日

息子の重さをしみじみ味わう、にんげんのおかあさん

雨や雪などの天気が悪い日の子連れのお出かけは、一苦労だ。

普段はベビーカーで出かけているが、久しぶりに抱っこ紐を使って出かけた。1歳10ヵ月の息子は、12キロくらいある(1歳半検診以降計っていないので、おおよそ)。生まれた時が3キロちょっとだから、4倍になっているのだ。どうりで重いはずだ。

エルゴの抱っこ紐は、肩にに食い込み腰にかかる負担もかなり増している。背中には、リュックを背負う。息子の着替えやオムツ、昼ご飯やおやつ、二人分の水やお茶も入っている。前後から重さが容赦なく襲ってくる。

コートを羽織り、傘をさして歩いていると、この寒さの中でも汗ばむくらいだ。家のまわりは坂道が多いので、息子を抱っこし上っていると登山をしているような気分だ。

そんな苦行の中、ふと息子の顔をのぞいてみると、妙にうれしそうな顔をしている。抱っこされて暖かいせいか、ときどきうとうと寝ている。私の心音を聞くと安心するのだろう、耳を胸につけていつの間にかすやすや眠る。

こんな姿を見ていると、赤ちゃん時代にタイムスリップしたかのようなうっとりした気分になる。

「あっという間に、抱っこなんかさせてもらえなくなるよ、今のうちだよ! 」という、先輩ママの言葉を思い出す。そう、今のうちだ。

最近の息子は、甘えん坊が加速して「ママ、ガッコー(抱っこ)、ギューッて!」と言って、毎晩私にくっついて眠らないと気が済まない。私が隣に寝ているだけではダメで、後ろ向きで抱きしめてやらないと、泣き叫んで寝ない。うんざりする。私はなかなか寝返りもうてず、ぐっすり眠れないのだ。

そんな息子の抱っこしてほしい気持ちに寄り添う絵本が、わが家にやってきた。
まだ息子が赤ちゃん時代に図書館で借りて気に入っていた一冊だったのだが、夫が古本屋で見つけてきてくれたのだ。『どうぶつのおかあさん』(福音館書店)に出てくる動物の名前も、今ではもうほとんど言えるようになった。ゾウが出てくるページでは、お気に入りのパオーンちゃん(ゾウのパペット)を抱きしめながら見ている。
私は、この絵本に出てくる動物のお母さんのマネをして、ネコのように首根っこをつまんでみたり、ライオンのようにパクッと頭にかぶりつくマネをしたり、コアラのようにおんぶしてみたりして、息子とじゃれあって遊ぶのが好きだ。

にんげんのおかあさんも、どうぶつのおかあさんも、根本的にはそんなに違いはないようである。

私は、りりしい顔をした絵本のなかのおかあさんの姿に、ページをめくるたびに励まされている。抱っこ紐もベビーカーがなくても、なんとかなる。いざとなれば、この身ひとつさえあれば、子どもを抱きかかえ、おんぶし、安全なところまで命を運ぶことができるのだと。




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